Biogon 21mm f/2.8とフラット補正の続きの話。
オールドレンズに対するフラット補正の有効性をご紹介したこの記事
の続きです。フラット処理したけど上手いこと合わない時に。
前回のおさらい
前回の記事は撮ったフラット画像を写真に除算で合成すると、一発で色被り補正できるよ!という内容でございました。
具体的には、次の色被りのある画像に対して
下のような
フラット画像を撮影し合成すると
こうなるよ。色被り消えた!ついでに周辺減光も消えた!やったね!
って話でした。
こんなに綺麗にフラット処理できんぞ
しかし実際にやってみるとこんなに綺麗に色かぶりが取れず、それどころか画像が破綻してしまう場合があります。こんな感じです。
なんだかすごいことになってますね。ポスタリゼーションを掛けたみたいです。
実はこの失敗写真は、使用したフラット画像が異なります。撮影方法は同じなのですが、少し露出が足りていない画像です。
成功例のフラットよりちょっと暗いですね。成功例のフラットも失敗例のフラットも、ヒストグラムではハイライトからシャドウまで潰れることなく収まっています。ただ露出だけが違います。ヒストグラムで言うとピークの位置ですね。このちょっとした違いで結果が大きく変わることになります。
フラット画像の明るさを調節する
じゃあフラット撮り直しなのか!というとそうでもなく、フォトショで明るさを変更すれば調整可能です。もちろんトーンの連続性とか気になる様であればちゃんと撮り直した方が良いのでしょうが。。。
除算でブレンドしたフラット画像にクリッピングマスクで露光量調整レイヤーを設置。ガンマ値を増やし、ちょうどよさそうなところに設定します。
ガンマ値を大きくすると、ヒストグラムの形を変えずに明るくすることができます。通常の露光量ではヒストグラムの形が大きく変化し、トーンが崩れるためあまりお勧めしません。
微小値で除算=割り算をすると、結果の値は非常に大きくなります。つまり割る側の明度が僅かに異なるだけで、出力画像へは大きな変化をもたらすわけです。ガンマ値を調整して画像を明るくすれば、微小値(黒)での除算を防ぐことができ、画像の破綻を避けることができます。
仕上がった画像は次の通り。違和感なく補正できてると思います。
隅っこの部分が少しマゼンタに変色してしまうのはガンマ値の調整を掛けても掛けなくても同じですね。このレンズとボディの組み合わせでは、この部分には光がほとんど届いていないのかもしれません。
しかしあんまり天体写真のブログとかにはこのプロセスを書いてないんですよね…その辺は天体画像処理ソフトウェアが頑張ってくれてるのかな。
ではでは。